ベタがおもしろい

■フォトグラファー上原タカシ、一週間の仕事日記■
11号// 2020.7.26

「ベタがおもしろい」

このメールマガジンは、
カメラマン上原タカシの先週のお仕事の内容と雑感を、
一週間ごとにお届けしています。

このメールマガジンを読んでいただけると、

・これからカメラマンになろうと思っている人
・カメラマンに撮影業務を頼む人
・社内で撮影を内製化している人

などに、
なんとなくカメラマンってこんなことしている人なのね~
と、思ってもらえると思います。

と言っても守秘義務も多く、
イニシャルトークだらけだったり、
秘密だらけでなんにも書けないこともあるかと思いますが、
お付き合いいただけるとありがたいです。

★ 先週のお仕事

月曜日は、
基礎化粧品メーカーの社長のポートレート、
一年分12カットの撮影。
ヘアメイクさんも頼んでいい感じ。

火曜日は、
緊急で入った癖のあるデザインのジュエリーの撮影。
リモートチェックですが、チェックしてくれる人は、
この商品を見たこともないし、担当でもない。
大丈夫か?

水曜日は、
ジェルネイルの撮影。
コロナで化粧品は散々らしいですが、
ネイルは好調らしい。
そろそろ企業ごとの明暗がはっきりしてきそう。

その後、交流会の来期の打ち合わせと、
交流会のラジオっぽい放送のZOOM収録。
アジアで一番のマクロビの先生、めっちゃ楽しかった。

木曜日は、
レタッチデー
いろいろセレクトバックをいただいた写真を、
レタッチして納品です。
それから昨日のZOOM収録の動画編集。

金曜日は、
新規のジュエリー撮影。
コロナ休み中に作ったランディングページから初の受注です。
ヒートマップを見ても動きが悪いので、
トップの写真を若めに変えたら、
おばさん向けのジュエリーの撮影が入りました。
仕上がりの評価も上々。

土曜日は、
これも新規の撮影。
アクリルキーホルダーです。
こういう撮影はジュエリーとかよりも難しいかもな。
でも、大変さは伝わらないと思います。
しかし、写真を見て「わー、大変そう」と思うような写真は、
広告写真としては疑問ですよね。
「苦労は空気のように拡散し、メッセージだけが浸透していく」
写真がいいと思います。

ビジネス交流会のメンバーでやっているラジオ放送みたいな番組を、
ZOOMでムービー収録してメンバー向けに流しているのですが、
今回はアジアで一番のマクロビの先生。
話が無茶苦茶面白かった。
ビジネス交流会って、普通にしていたら絶対会わない凄い人がいたりするんだけど、
詳しく話を聞いてみないと、その凄さってわからない。
その凄さがわからないまま、
とりあえず同じメンバーですねって事でお友達みたいな感じになるのですが、
その業界ではすごい先生だったりして、その実態を後から知ってへんな感じです。

その中でも、ちょっとご高齢の方で、すごい人がメンバーにいるのですが、
皆さん話が面白い。
普段は飄々ととぼけた感じでいるのですが、
ご自分のお仕事の話になると、内容もすごいし、面白いし。
こういうアウトプットができるようになりたいです。

ムービーといえば、先週撮影した鼎談もいい感じに仕上がった。
多少コツを掴んだので、また次のコツを身につけていこう。

コツといえば、同じカメラでもスチールとでは、
撮影時に注意することがあって、
同じものを撮るのでも、
寄ったり引いたり、右から左から、
いろいろ撮影しておかないと編集の時に繋がらない。
同じ構図の絵が続くとつまらない、
というか、同ポジといって気持ち悪いのだ。

スチールでも同じことは言えるのだが、
スチールの場合は一枚の画面や紙の中にレイアウトされるので、
構図も多少変化が欲しいですが、
強弱というか緩急というか、
メインの写真をしっかり撮って、サブカットがメインを喰わないようにしないといけない。
そのためには、色味や構図をあえて揃えるってことが出てくるんだけど。
動画の場合は同じ画面、同じ場所で変化していくから、
変化していることが大事になってくる。

まあ、動画をやらないとって時に、脇で仕入れた知識なんですが、
その直後に撮影したある仕事で、ムービーのように変化を気にしながら撮影してみたスチール案件がある。
クライアントさんはその写真で、サイネージ用にスライドショーを作成したらしいのですが、
写真を順番に並べただけで、ほとんど編集なしでムービー作品になってしまったらしい。

ちょっとムービーの練習ぐらいで、注意しながら撮影したということはあるのですが、
並べただけで成立するっていうことは日頃ないので、
少し不思議な感じでいい気分でいたのですが、
これって、フィルムの頃のベタが面白い時に似てるのかなっと思った。

最近の人はフィルムを扱った経験がない人が多く、
ベタって言ってもわからないと思うのでちょっとベタの説明。
プロは、フィルムで撮影したものを、普通のサービス版でプリントしたりしないで、
(今はサービス版も同時プリントもわからないよね)
A4ぐらいの印画紙にフィルムを直接並べて、
露光・現像して、フィルムのままのサイズの写真の一覧表を作る。
この一覧表のことをベタと言って、
この下手にルーペを当てて、引き伸ばす写真を探す。

で、このベタが面白いカメラマンというのがいて、
以前は写真展に行くと、このベタがそのまま作品になっていたりもしてた。

以前はベタやポジのスリーブでクライアントに渡すので、
へんなコマが出来ないように、
一コマ一コマ気を付けて撮っていたなぁと思います。

デジタルになって、いらないものは消す前提で撮影しているけど、
同じような気持ちで撮ったら、
ちょっと上手くなるかな?
そんな気がする。

今回もお読みいただきましてありがとうございました。
来週もよろしくお願いします。

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上原タカシ写真事務所

☆どうしてこんなメルマガを書いているのか?

きっかは些細なことでした。
私はとあるビジネス交流会に所属しています。
お互いの仕事の内容を理解しあって、
知り合いにニーズのある人がいたらお仕事を紹介しあう会です。
例えば、税理士さんの顧問先にレストランがあって、
メニュー用に料理の写真を撮りたいんだけど、
なんて話があったらカメラマンとして僕を紹介してくれる感じです。

なので、カメラマンの仕事ってビジネスとしては複雑なものじゃないし、
すっかり自分の仕事のことはメンバー人なが理解してくれているものだと思っていて、
プレゼンの機会があったら、色の再現がどうとか、難しい話ばかりしてしまっていました。
でも、メンバーの一人が私のスタジオを訪れた際、
「これって何に使うの?」
「こういうクライアントの仕事ってどうやってくるの?」
と、なんでそんなこと聞くの?
という質問をいっぱいしてくれました。
自分のビジネスは自分が一番よくわかっていない。
よく言われることですが、こういう事かと実感しました。

思い返せば、自分がこの業界に入った時、
スタジオの大きくて重たい鉄扉一枚からワクワクした記憶があります。
自分ではもう当たり前になってしまったことでも、
何かの参考にしてもらったり、これから志す人にワクワクしてもらったり、
また、自分が初心に帰るために。
拙い内容ですが記していこうと思います。